BXの冷却水の交換


BXの冷却水の交換は、他車に比べて非常にやっかいです。その理由は、こうです。

  1. ラジエータのタンクが普通は上下に設けられているのに、左右にある。
  2. リザーヴァ・タンクは普通アッパ・タンクについたキャップからオーヴァ・フローした冷却水を溜める構造になっているのに、BXはがラジエータ・タンクと一体になっており、しかも黒いプラスティックである。
  3. ロワ・タンクにドレン・ボルトがついているのが普通だが、当然それはなく(ロワ・タンクがないから)、妙なホースがついている。それがドレン・ホースらしい。
  4. 通常、ラジエータ・キャップが一番高い位置にあってそこからエア抜きをするのに、上述のような構造のため、3カ所もブリード・スクリュがある。

従って、時間には充分余裕のあるときに作業しましょう。それでは作業の方法を説明します。

古い冷却水の排出
 まず、古い冷却水を排出します。言うまでもないですが、冷却水が熱いときに急にキャップを外すと、圧力が下がるため急に沸騰することがあります。そうなると熱湯が吹き出るので大火傷の危険があります。なるべく冷えた状態で行いましょう。もっとも、ぬるま湯くらいの方が抜けやすいらしいのですが。
drain hose 前述のようにドレン・ボルトはないのですが、ラジエータの、進行方向に向かって左端の下部後方に、タンクから出てどこにも行かずにまたもどる太さ1cm、長さ15cmくらいの太さのホースがあります(矢印。右側の銀色はラジエータのコア)。それがどうもドレン・ホースらしいです。クリップを外して抜くと水が出てきます。クリップはネジで締まる奴で、しかもエアコンのホースの近所なのでひどく廻しにくいです。このとき、キャップはもちろん、ブリード・スクリュ(後述)も全てゆるめておかないと、出てこない部分がうんとあります。ヒータ・ユニット内部からの排出をよくするためには、エアコンの温度調整を最暖にしておくとなお良いらしいです。
 なお、ドレン・ホースは細いので出が悪くイライラします。ラジエータ・ホースを抜いて排出する方がいいかもしれません。
回路の洗浄
 冷却回路内の不純物を除去するため、ドレンさせたまま水道水を入れてエンジンを廻しましょう。サーモスタットを外してやるのが本式ですが、夏場ならそのまま2〜3日乗って循環させるのもいいかもしれません。出てくる水が透き通ったらOKです。フラッシングするクスリも売られていますので、使ってみるのもいいかもしれません(サンポールが効くという話もあります)。ただ、クスリを使うときは決められた時間をちゃんと守らないと、内部を冒す可能性があるので注意しましょう。  
クーラント濃度 水の割合 凍結温度
30% 70% -16℃
35% 65% -20℃
40% 60% -24℃
45% 55% -28℃
50% 50% -35℃
55% 45% -41℃
新しい冷却水の注入  
 それでは新しい冷却水を入れます。容量は7.5リットルです。不凍液を決められた割合(許容最低気温によって違います)で入れ、残りを水道水で満たします(本当は水で割ってから入れた方がいいのでしょうね)。 
 適正量は下から水面まで250〜300mmです。外からは見えないのですが、なんと、エンジンオイルのディップスティックを拭いて使うようです。まあ、実際は上から水面が見えたらいいようです。うちのBXの場合、漏れたときにLHMと間違わないように青色のクーラントを使いました。混合割合と凍結温度はHoltsのクーラントでは右表のとおりです。
エア抜き  
 冷却回路内にエアを噛んでいると、冷却不良を起こし、オーヴァ・ヒートする事がありますから、慎重に行いましょう。基本はブリード・スクリュから冷却水が出てくればOKです。スクリュは次の3カ所にあります。(夜中にストロボ焚いて撮ったのであまりきれいじゃありませんが御容赦を)
クルマに向かってラジエータ右端の上部(写真左)。右は見やすい角度から見たところ。
サーモスタット(丸い銀色)の斜め上。アーレンキーをハイテンションコードの裏側に通して廻す。右は拡大図。(ピンぼけですまぬ)
カム・カヴァの裏。右の写真が付近詳細。左がバルクヘッド。赤く見えるのはEXマニホールド。ここもアーレンキーでゆるめる。
 エアを噛みやすい構造なので、スクリュから水が出てきても、またどこかに入っていたエアがスクリュ付近に来ることがあります。根気よく何度もチェックしてみましょう。エアが抜けると、リザーヴァ内の水量が減ります。減ったら水を足しましょう。さらに、水温が上がってサーモスタットが作動するとたくさんエアが出てきます。これを繰り返して、エアも出ず水量も適正になったら作業は終了です。

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