セダンのような「実用」車の真価は、やはりパッケージングでしょう。もちろん居住空間は広い方がいいですよね。そうはいっても、狭い道の多い日本ですからあまり大きいクルマは困ります(下手な3ナンバー車とのすれ違いで往生した経験、ありません?)。外形は小さく、中は広くというのが知能指数も高いといえましょう。
軽四でもない限り、前席が広いのは当たり前なので、後席がどれくらい広いかでパッケージの良否が判ります。その点、BXは大人(173cm)が運転する後ろの席で、悠々足が組めてしまいます。また、前席の下部に爪先を入れられるので、単純な寸法以上の広さがあるんです。いっぺん座ってみてください。ただし、後席はサン・ルーフの「戸袋」があるので、180cm級の人には頭がちょっときついかもしれません(Breakなら大丈夫ですけど)。
また、日本ではあまり売れたことのない、5ドア・ハッチバックですが、ステーション・ワゴン並の収容力を持っています。やはりヴァカンスの国生まれです。後席は座面を引き起こしたところに背面を倒し込む方式ですが、トランク部分と段差のない、広大でフラットな荷室が現れます。これを見ると、もう4ドア・セダンなんか乗れなくなっちゃいます。私などはBXで引っ越しまでしてしまったくらいですから(さすがに大きなタンス等はトラックで運びましたが)。また、小物を置くスペースがどこやかしこにあるし、グラブ・ボックスは上下2段もあるし、無駄なスペースはほどんどないですね。どれくらいあるかというと、
てな感じです。
また、感心するのが、Bピラーの形状です。ちょうど肩のあたりがぐっと外に拡がっています。このせいで、実質以上に広く思えるんですね。そういえば、このBピラーは、根っこのあたりはすごく太くなっていて、剛性確保に大きな意味を持っているようです。まあ、最近の設計のクルマには足元も及びませんが。
こういう、広い室内を生み出しているのは、やはりCitroen伝統の長いホイールベースでしょう。同サイズの他車と比べて、リア・タイアが随分後ろの方に付いています。普通、リア・ドアは、ホイール・ハウスに蹴られてかなりえぐれた形ですが、BXの場合、ほとんど四角になっていることでお解りと思います。ホイールベースを長く取ることによって、居住空間を増やしているんですね。
また、リア・サスはトレーリング・アーム式とすることで、荷室への侵食を最小限にとどめているんです。このサスは、同じ系列のPeugeotでは、ワゴン車に使われているものです。
なお、長いホイールベースが独特の直進性の良さに繋がっていることも付け加えておきましょう。