BXのセダン(一部キャブ車を除く)には、チルト&スライドが可能なガラス製サンルーフが付いています(Webasto-Heuliez製)。このサンルーフですが、Bピラーを越えた後ろの方にまで開口部があるという、セダン系では5本の指に入ると思われる大きさを誇っています。戸袋を持つインナー・スライディング型では最大かもしれません。ルーフに開いた穴は55*88cm、そのうち実際に車内から見た開口部の大きさは42*83cmという大きさです。
ガラスには強度を持たせるためか、1mm間隔くらいでチェッカー状にプリントが施されており、内側のシェードを開けておいても日射しがきつすぎるということはありません。したがって炎天下でもない限りシェードは開けっ放しでOKです。まあ、確かにリア・シートでは戸袋の分天井が低くなってしまっていますが、この開放感には換えられません。
これが、その操作部です。バック・ミラー上部のコンソールに付いています。真ん中あたりのスウィッチがそれで、シーソーになっていて左に押すとチルト方向、右に押すとスライド方向に動きます。シェードは手動式で、手前に写っている取手で操作します。スライド時にはルーフと一緒に自動で開きますが、シェードの摺動抵抗が大きくモータに負担をかけているようなので、面倒でも手で操作しましょう。
コンソール手前の黒い半球はリモコン・ドアロックの赤外線受光部で、向こう側には左右独立式のマップ・ランプがあります。このランプはレンズをグリグリすると若干方向が変わります。コンソールの先っぽにはサンヴァイザの支持部が付いています。
で、今回のトラブルですが、正常状態ではチルトからスライドに移行する場合(逆もそうですが)、全閉時に一旦動作が停止するようになっていて、一度ボタンを押し直さなければならなくなっています。この制御が効かなくなって、押しっぱなしのまま動作するようになってしまいました。
これは、横着できる点もあるにはあるのですが、きちんと閉まる位置になりにくく、小刻みにボタンを押してルーフを水平位置に持ってこなければならないということになり、やはり面倒の方が大きかったので、直してみることにしました。
例のコンソールですが、手前の部分がご覧のとおり開くようになっています。写真の下が車両前方です。横に長い円筒形のものがモータで、上側のダイキャスト製の部分がギア・ユニット。
動作を観察すると、外側に露出している白いカムがモータから直接駆動されています。このギアの周は上下二段に別れていて、溝が切ってあります。これによって、手前の黄色いカムが回転します。そして、黄色の外周は一部が切り欠いてあります。
そして、青色に見えるのはマイクロ・スウィッチなのですが、このスウィッチの凸が黄色の周に接していて常時ONになっており、切り欠きのところでOFFになるという仕掛けです。
肝心の原因ですが、黄カムの軸が抜け、白カムが廻っても黄カムが廻らなくなっていたのが原因でした。
それでは直してみましょう。まず、黄カムを軸ごと抜きます。白カムには長溝の位置を示す目印がある(上の写真に写っています)ので、それを黄カムの軸に向けて止めます(もちろんルーフ全閉位置でないとダメですが)。そこで、黄カムを規定の溝に合うようにはめてやります。規定の位置は写真の穴が示していますので、それが白カムの軸に向けてはめます。もともとの軸の固定方法は不明ですが、溝は切ってなかったので、サークリップで留めてあるわけではないようです。今回は軽く接着剤を塗って留めておきました。
なお、このコンソールのフタなのですが、お察しのとおり整形が甘く、はまってもガタが残ることがあります。フタにはリモコンドアロックのコントローラがついているため思ったより重く、耳にも近いためガタがあると相当やかましく聞こえます。嵌合部のツメにウレタンのクッションを貼るときっちりはまるようになるので、お困りの方はお試しあれ。クッションでなくても布のガムテープを重ね張りしても何とかしのげます。