実は私、クルマを飼うようになってからもう10年以上になり、車検を受けたのも十数回になるのですが、この間工場に車検をお願いしたのは2回くらいしかありません。その2回も、仕事の都合で時間がとれなかったというのがその理由です。これだけユーザ車検を受けるのは、実は哀しいことに金銭的な部分にあるのですが、おかげで経験は積んでいるので、これから受ける人の参考にはなるかと思います。
数年前に検査制度が改正されたこともあり、ユーザ車検を受ける人も増えているようです。確かにディーラ等で受けるよりは安価に済みます。ただ、注意していただきたいのは、車検は安全を保障してくれるものではないということです。その時に最低満たしていないとならない点をクリアしているかどうかをチェックするだけだからです。例えば、ブレーキですが、効いていれば車検は通ります。しかし、それからどのくらい経てば摩耗限界を迎えるかのチェックはしません。特に新車から3年しか経っていないクルマであれば、何もしない状態でも検査を通ってしまうかもしれません。しかし、私はやはり定期的にプロの目で診てもらう必要があると思います。
というわけで、私の場合、車検前にディーラに持っていって検査を受けます。24ヶ月点検が理想ですね。12ヶ月でやるときには(最近はわざわざ言わなくてもわかってくれていますが)ユーザ車検を受けると言うことを伝え、あぶないところは指摘してもらうようにしています。点検項目については自分でもチェックしておきます。自分でできることは自分で直し、手に負えないところは別途修理をしてもらってから車検に臨んでいます。それが難しいようなら、きちんとお金を払ってプロにやってもらう方が利口だと思います。
では、そろそろ本題に入りましょう。なお、これは岡山検査場においての話です。他の検査場では若干違うことがあるかもしれませんので、あらかじめご了解ください。
今回の実験台、CitroenBX19TRi('90初登録)の場合、摩耗していたタイア、破れていた右フロントのドライヴシャフト・ブーツ(アウタ側)を交換する必要がありました。ブレーキ周りについても7月に交換してなければまずかったと思います。
(この記事、書いたのは1997年の時点です。1999年版も書いたので参照してみてください。入ったラインが違います)
まず、しなければならないのは日時の予約です。なぜユーザ車検に限って予約がいるのかはよく判りません。たぶん、業者さんの持ち込みが多い日にはユーザ(慣れてないので時間がかかる)にたくさん来られてはマズイからでしょう。特に月末とか休日の前の日は混むので、早めに予約を入れておくに越したことはありません。登録地を管轄している検査場(私の場合は中国運輸局岡山陸運支局)に電話します。今回からはテレフォン・サーヴィスによって受付が自動化されています。でも、自動化してかえって余計に時間がかかるようなシステムで、面倒です(改善を望みます!)。予約するときには登録ナンバーを訊かれます。また、午前か午後のどっちを希望するかを訊かれますが、どうせ仕事を休んで行くのだから、午前を予約しましょう。検査ラインにはその日のうちなら何度でも入れるので、思わぬ点で不可になっても、大抵のことはその日のうちに調整できるからです。受付が受理されると、予約番号を通知されますので、メモしておきます。
次にしておかなければならないのは、自賠責保険への加入です。今回取得する筈の検査証の有効期限を満たす分だけ加入しておきます。ディーラ等で手続きを済ませておきます。
あと、下回りが汚ければ検査官の心証が悪いかもしれないので、スチームをかけておいた方がいいかもしれません。ただ、検査直前にかけるとしずくが垂れて逆効果になる可能性があるので要注意です。
検査場に着いたら受付手続をします。カウンターの一番右に「ユーザ車検の方」と書いた窓口がありましす。予約番号を申し出て、検査票と重量税納付書をもらいます。必要なら、係官から説明を受けられます。継続検査申請書はなぜかくれません。これは自動車整備振興会(隣のビルにある)で42円出して買います。
その隣の窓口では重量税(クルマによって違います。BXは1t+で37,800円、RoadsterやRX-7では1t以下で25,200円)と受検料(小型車1400円、普通車1500円)の印紙を売っています。自動車税の領収書がない場合は県自動車税事務所の分室があるので、そこで完納証明をもらいます(無料。自動発行機もあります)。未納分があれば、そこで納付もできるはずです。買った印紙は所定の場所に貼付し、必要事項を書きます。待合いのテーブルに記入要領が書いてありますので、それに倣って書きます。
書類の作成自体、全然難しいものではありませんが、面倒/不安だという人には近所にある筈の行政書士にいくらか払えばやってくれるでしょう。書いてすんだら最初の窓口で書類がそろっているかチェックを受けます。
右上の写真は重量税の納付書です。下に貼ってあるのが重量税の印紙ですね。印紙を買うときには車検証で自分の車の重量がいくらかをちゃんと調べてからにしましょう(前回払った額は車検証に書いてあります)。
ラインはほぼ自動化されていて、自走して次々にチェック・ポイントを通過していく仕組みです。岡山の検査場は小型車用が4本、大型車用が1本あります。小型用ならどのラインでも同じです(ユーザ車検の人は第何レーンと指定があります)。レーンが書いてありますので、順番に並びます。順番待ちの間に、ホイール・キャップを外し(ホイールの取り付け状況をチェックされます。ただし目視のみ。ホントに判るんだろうか?)、検査票と発煙筒を手元においておきます。
CO2削減に逆らうようで不本意ですが、エンジンはかけっぱなしにしておきます。ここでエンジンを止めておくと、触媒の温度が下がったりして肝心の排ガス検査時に不測の事態を招くことがあるようです。
また、エンジン・ルーム内をチェックされますので、ボンネットのロックは外しておくと、言われたときにあわてないですみます。
写真がスタート地点です。前方上方に電光板があるのが見えますか?あれが、いろいろな指示を出してきますので、そのとおりに動きます。OKになった項目は○印が点灯します。
最初のセクションではまず保安装置のチェックがあります。ウインカ、ブレーキ、バック、ポジション、ヘッド(ハイ/ロー)、ワイパ、ホーンと次々に作動させます。発煙筒もあるかどうか訊かれます(シートの上に目立つように置いておけば、見ただけで訊かれないこともある)。ステアリング・ホイールを換えている場合、径を計られることがあります。35cmぐらいが目安のようです。ラッパのマークもないとまずいです。無いときはガムテープに手で書いていても大丈夫です。
ここで第1段階が終了です。検査票にマークをする機械がありますので、印字欄(左側)をスロットに入れると、ガチャンとマークされます。写真があればいいのですが、この日は助手もいなかったのでラインの中での写真は撮れてません。あしからず。
第2段階の最初はサイド・スリップのチェックです。測定する板の上をゆっくり通過するだけです。ステアリングにはあまり力を入れず、車なりに通過するのがコツのようです。
今度はブレーキのチェックです。タイアをドラムに乗せると、ちょっと沈むので、効きのチェックをします。前輪、後輪、駐車と3種類のチェックがあります。シトロエンのハイドロニューマティック仕様車では、駐車ブレーキが前輪についているので(スバルの一部にもあるらしい)、事前にその旨を検査官に申し出る必要があります。
ブレーキがすんだら、スピードメータのチェックをします。駆動輪をドラムに乗せます。天井からボタンがぶら下がっていますので、それを掴んでおいて(LHD用もある)、ちょっと沈んだらアクセルを踏みます。MT車は1速、AT車はDレンジ(BXはAだが)ではなく、Lレンジで1速ホールド状態にして加速し、メータが40km/hになったらボタンを押します。ここでまた印字マシンのお世話になります。
第3段階は排ガスと光軸のチェックです。設置されているミラーを見ながら、指定位置に停止させます(ちょっと越え気味の方がいいらしい)。ヘッド・ランプをハイにして点灯します。すると、横からオービスの撮影機みたいなロボットが出てきて測定を始めます。始まる前に下車して、排ガスの測定プローブ(棒状)をマフラに突っ込みます。○が点灯したら抜いて元に戻しておきます。そのころには光軸検査は終わっているでしょう。また印字して先に進みます。
第4段階は下回りの検査です。ピットが設けられていますので、指定位置まで進んで停車します。ここでは同時に加振装置による振動検査もあります。これは数年前のラインの改修の際に新たに設けられたもので、車体に振動を与えて不具合がないかチェックします。その間、ピットの中の検査官が下回りをハンマでトンカンやってくれます。前方の電光表示が点灯したら、前に進みます。
ここまで来ると、出口脇のブースから別の検査官が出てきます。必要書類等を提示すると、何か訊かれることがあります。RECAROシートのベースフレームを確認することもあります(最近はしない?)。
検査項目全てがOKなら、ここで検査官が別にハンコを押してくれます。そうなるとライン検査は終了です。クルマはその辺に置いて窓口へと向かいます。
左が終了状態での検査票。左端が機械で印字されたマーク。右上のハンコが検査官の終了確認印。その下が検査手数料の印紙で、さらにその下は予約確認印。枠内2つは再検査合格印です(後述)。
やれやれ、緊張のライン検査が終わりました。後は検査証交付窓口に行くだけです。一応、書類を重ねる順番が書いてありますので、それに従ってクリップでとめてカゴの中に入れておきます。しばらく待っていると、名前を呼ばれますので、新しい検査証、検査ステッカーをくれ、その他の提出書類を返されます。あとはクルマに戻って古いステッカーをはがし、新しいのを貼るだけです。古い奴は日光にさらされて固くなっているので、濡らした上にスクレーパでもあれば完璧です。まあ、これは家に帰ってゆっくりやった方がいいでしょう。
これが、ユーザ車検のあらましです。そんなに難しくないでしょ?
でも、何度も受けている私でも、一発とはいかず、今回引っかかったところがありました。
それは、
の2点でした。コネクタ抜けなのはすぐ判ったので今回はラインに乗らず、出口で検査官を呼んで見てもらい、OKになりました。
検査は、その日のうちなら何度でもラインに乗ることができますから(この点でも朝から行く方が得)、×が出たところは再調整して再挑戦します。特に光軸の調整は簡単な作業なので、×が出たら検査官にどう直せばいいか訊けば教えてくれますから、その辺の塀を利用してちょちょっと直せばOKです。
あと、今までに当日再調整を行った経験としては、こんなものがあります。(全部SA22CのRX-7で起きました)
もし、あなたが×が出るのが嫌な性分なら、きっと検査場周辺にテスタ屋さんがあるので、そこで予行演習を受けてからラインに乗るのもいいでしょう。
最初にも書いたように、これは岡山検査場での体験を元に作成しました。うちの検査場は違うぞ!って方は情報をお待ちしていますのでメールください